コロナ後遺症外来
コロナウィルスに感染した患者様の後遺症(Long COVID)に対応しています。
具体的には、倦怠感・味覚障害・嗅覚障害・頭痛・記銘力低下・脱毛・脳の霧(BrainFog)に対する星状神経節ブロックを実施します。
星状神経節ブロック(SGB)について
星状神経節は首の前側、鎖骨の内側端の真上あたりの左右に対で存在する交感神経で、その名の通り神経が星状に密集して存在している部分です。この部分にブロック注射を行うことで神経の緊張が緩み、上半身の血流が改善されるため、上半身に起こっている炎症や傷が回復し、痛みやしびれは軽減します。健康保険が適用される治療ですので、安心してご相談ください。
また、当院の院長は血管を避けて注射を打てるため、抗凝固薬を服用されている方でも治療を受けていただけます。
星状神経節ブロックの対象
星状神経節ブロック(SGB)の流れ
1準備
横向きでベッドに横になっていただきます。
2注射
対象の部分の皮膚を消毒し、超音波ガイドで注射を行います。およそ30秒で治療は完了します。その際少しチクっとしますが、響くような強い痛みはありません。
3安静
治療完了後は10分ほどリカバリースペースで安静にしていただきます。
4医師と効果判定
医師がホルネル徴候を確認します。それによって効果を判定し、完了後ご帰宅となります。
星状神経節ブロック(SGB)が打てない方
当院の院長は経験豊富なため血管を指してしまうリスクもなく、打てない方はいません。
注射後、気をつけること
- 当日の入浴は、注射後6時間以上あけてください。
- 当日は激しい運動を控えてください
- 注射は何度でも繰り返すことができますが、次の注射まで最低1週間は空けてください。
ホルネル徴候について
ホルネル徴候という特徴的な反応が見られます。(1~2時間)
瞼が重くなる・充血・縮瞳・声が嗄れる・鼻閉・喉が詰まった感じがする
正常な反応(効果判定)ですので、ご安心ください。
コロナ後遺症外来で
よくある質問
星状神経節ブロックとは?
交感神経の働きを一時的に抑えるために、お薬を首に注射する方法です。
※ブロック注射によって、「ホルネル徴候」と呼ばれる反応が生じます(1~2時間)。
のどが詰まった感じがする・声がかれる・鼻閉・目の充血・縮瞳・瞼が重くなるなどの反応で、いずれも効果判定に用いられる正常な反応ですので、心配はいりません。
首への注射に、危険はありませんか?
たしかに、首には多くの血管や神経が走っています。
しかし、「ペインクリニック」である当院では、血管や神経を避けて特殊な注射をすることができます。
ペインクリニックは何科にあたりますか?施術者は医師ですか?
専門領域でいえば、麻酔科です。
レントゲンや超音波によって得られる画像を確認しながら、正確に注射をする技術のある医師が施術します。
効果はありますか?
すぐに顕著な効果が現れる方もいれば、効果が認められない方もいます。
実感としては、効果が出る患者様は7割です。
1回で治りますか?
1回で症状が大幅に改善される例もありますが、平均して5回、外来にて週1回ずつ5週間で施術します。
注射は、1回につき左右の一方にしか打てません。右(初診)→左(2週目)→右(3週目)・・・と交互に実施します。
どのような症状に効きますか?
味覚障害・嗅覚障害・倦怠感・頭痛・記銘力低下・脳の霧(Brain Fog)・脱毛など、頭頚部の症状に効果があります。
呼吸が苦しい感じや長引く咳などには、あまり効果がない印象です。
注射は嫌いなので、他に方法はありませんか?
注射を使わずに漢方薬を処方することも可能ですが、効果は大幅に下がります。
コロナ感染後、いつから注射ができますか?
隔離期間の経過後であれば、いつでも可能です。
院内感染防止の観点から、陽性と判定された直後の受診は控えてください。
星状神経節ブロックに効果があるのは、なぜですか?
注射後、一時的に脳内で血行が改善され、血流量が増えます。
正確な作用機序は不明ですが、免疫系や内分泌系の関与も考えられています。
星状神経節ブロックは危険ではありませんか?副作用はありませんか?
星状神経節ブロックは、1世紀以上も昔(1896年)から用いられている注射です。
技術を習得した医師が適切な手順で実施すれば、重度の合併症はほとんどありません。
痛みはありますか?
細い針を使用しますが、注射ですので、チクっとした痛みはあります。
注射の時間は、5分程度です。
健康保険が適用されますか?
はい。3割負担の場合、1回の受診で注射代として1,060円(3割負担)が必要です。
別途、初診料とお薬の代金がかかります。
診断書を発行してもらえますか?
コロナ後遺症に全治何週間といった判定は困難です。
患者様の状態を説明し、5回の外来通院で処置を施す旨の診断書を発行します。
注射後、また元に戻るのでは?
星状神経節ブロックを実施すると、交感神経が「リセット」される上、一時的とはいえ脳の血流量も増えることで、長期にわたる効果が認められます。多くの患者様は、症状が改善して通院を終えています。
ただ、他の疾患(慢性疼痛・頚椎症)を併発して定期的に通院される方もいらっしゃいます。
コロナ後遺症には、どのような治療法がありますか?
現状では、以下に示すような方法があります。主に対症療法が行われています。
- 漢方薬
- 上咽頭擦過療法(EAT:Epipharyngeal Abrasive Therapy)
- 星状神経節ブロック(SGB:Stellate Ganglion Block)
医学的な根拠(エビデンス)はありますか?
コロナ後遺症は、海外でPASC(Post-Acute Sequelae of SARS CoV-2 infection)と呼ばれています。
PASCのエビデンスについては、当院でデータ取集するとともに、下記の文献を参考にしています。
・星状神経節ブロックはコロナ後遺症を軽減させる
Stellate ganglion block reduces symptoms of Long COVID
J Neuroimmunol. 2022 Jan 15; 362: 577784.
リンク:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8653406/
・コロナ後遺症(嗅覚味覚障害)に対する星状神経節ブロックの効果
Stellate Ganglion Block for Anosmia and Dysgeusia Due to Long COVID
Gaurav Chauhan 2022 Jun 11: cureus.27779
リンク:https://www.cureus.com/articles/106516-stellate-ganglion-block-for-anosmia-and-dysgeusia-due-to-long-covid
星状神経節ブロックを使用する疾患は、他にもありますか?
めまい・頭痛・帯状疱疹後神経痛・突発性難聴をはじめとして、多くの疾患の治療に使われます。
頚椎には7つの骨があり、このうち6つ目の位置(C6)で交感神経をブロックします。