足汗は遺伝?うまれつき?
手掌多汗症(手汗)と同じく、足汗も局所多汗症に当てはまります。
足裏・小指側の側部などに発汗が多く、膝裏の発汗に悩む方もいます。
多汗症の家族内発生率は60〜65%程度で、常染色体優性遺伝が疑われています。
親子・兄弟で同じ様な症状に悩まれる方は多いです。
また、多汗症の方は、手足がとても冷たい事が多いです。
「私は冷え性が酷いから」
「汗が多くて、冷えてしまう」
それは冷え性でも汗のせいでもなく、末梢の血流量が低下しているのが原因です。
交感神経の興奮により、動脈が収縮し、血流量が低下します。
多汗症の原因は、交感神経の異常興奮です。
- 手足の発汗量の増加
- 手足の血流量の減少
主にこの2点で日常生活に支障を来します。
小児期には、手汗が最も気づきやすく、成人になるにつれ脇汗・足汗が気になり始めます。
特に女性の場合は、手足の冷え性に気付き始めます。
この様に、小児期から兆候はあるものの、成長と共に様々な症状に気付き始めるのも多汗症の特徴です。
汗に関しては、内服・外用・ボトックス・イオントフォレーシスなど様々な選択肢がありますが、冷え性(末梢の血流量減少)については外科的介入(選択的ETS・腰部交感神経節ブロック)でしか解決できません。
実際に、選択的ETS・腰部交感神経節ブロックは、手足の血流障害の治療(膠原病・レイノー症候群・末梢血流障害)にも使われています。
日本人は靴を脱ぎ、屋内に入る習慣があり、足汗で悩む方は多いです。
通気性のよい靴下を履く・靴に防臭剤を使用するくらいしか解決策が無かったのではないでしょうか?
当院で行なっている「腰部交感神経節ブロック」は、足汗の根本治療として非常に有用です。発汗量減少により、足の臭いも軽減されます。
では、なぜこの注射を行う施設が少ないのでしょうか?
・保険点数が少ない
保険診療上、治療に対する診療報酬は全国一律で定められており、変更できません。
日本では神経ブロックの手技料が、諸外国に比べるとかなり低いのが現状です。
・手技が難しい
背骨(椎骨)前面にアプローチしますが、目の前には大動脈・下行大静脈がありミリ単位の精度が要求されます。
ペインクリニックに熟練した医師でないと、刺せない注射です。
・特殊なレントゲン設備が必要
通常のレントゲンではなく、角度調整ができるCアームという機材が必要です。
クリニックでCアームを導入している施設は少数です。