多汗症治療で
よくあるご質問
代償性発汗以外に、手術の合併症はありますか?
ホルネル症候群
第1交感神経に電気メスの刺激が到達すると発生する症状です。主に、上眼瞼下垂が挙げられます。当院では本幹は温存する事・術中レントゲンにより切除レベルを確認するため、ほぼホルネル症候群の心配はありません。
気胸
手術にあたって、一時的に肺を小さくします。手術後に再び肺を膨らませて元に戻しますが、肺が膨らみきらないままになる場合があります。「気胸」と呼ばれる状態で、肺の状態によっては、「ドレナージ」と呼ばれるストローを入れるような処置が必要です。
徐脈
交感神経の心臓枝を左右とも切ると、脈が遅くなる場合があります。
当院では、交感神経の心臓枝には処置をしませんので、除脈の心配はありません。
多汗症手術のメリットは?デメリットは?
最大のメリットは汗のお悩みの解消です。多くの患者様が、大変楽になったとおっしゃっています。
また、手の冷感も解消されます。
デメリットは、代償性発汗です。ほとんどの場合、それまでの手汗の悩みと比べれば問題にならない程度の発汗量でとどまっていますが、代償性発汗はゼロではありません。当院では、代償性発汗を可能な限り少なくする「選択的ETS」を行っていますが、よく説明の上、意思決定をして頂けるよう、何度でも説明します。
ボトックス注射は多汗症に有効ですか?
ボトックス療法は、ボツリヌス菌が生成するタンパク質から作られた薬であり、交感神経から汗腺への情報伝達を遮断します。ワキの皮内に直接ボトックスを注射することで、発汗量を減少させることができます。汗の分泌を抑制する効果は通常2~3日で現れ、3~6ヶ月にわたって持続します。
多汗症にはどんな特徴がありますか?
多汗症の特徴は次の通りです。
- 手のひらや脇が常に湿っている。
- 気温が高くなくてもたくさん汗をかく。
- 手汗のせいで、文字が滲むなど普段の生活が不便。
- 脇の下の汗ジミが気になる。
- 緊張すると大量の汗が出る。
- 多汗のため、1日に何度も着替えが必要。
- 睡眠中などには汗をかかない。
- 「汗をかかないか?」と心配になり、仕事や勉強に集中できない。
- 手が冷たい事がある(手の皮膚温が低い)
など
手掌の汗を止める手術で足底の汗も止まりますか?
手掌と足裏では支配している交感神経が異なります。このため、基本的に、手掌多汗症の手術で足裏の汗が抑制されることはありません。稀に、代償性発汗で足裏の発汗量が増える場合もあります。
交感神経を片側だけ切る手術もできますか?
可能です。実際、日常生活の中で手を使う場面によっては、両側に手術が必要になるとは限りません。利き手の発汗量が減るだけで不快感や生活上の不都合が軽減され、もう片方まで手術をしなくても済む場合もあります。
このような事情もあることから、当院では、両側の手の神経を一度に切断することはせず、片側ずつ手術をするようにしています。
小学生の子どもが手掌多汗症です。手術はできますか?
手術の対象になるのは、原則として中学生以上です。主な理由として、手術器具のサイズ・麻酔機材のサイズの問題がが挙げられます。
小学生のうちは、イオントフォレーシスや外用薬を推奨します。
ただし、手掌多汗症が原因で生活上に著しい不都合がある場合は個別に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。