手汗と自律神経の関係は?
ストレス?
自律神経のうち、手の発汗量を制御している交感神経は活動時に優位になり、睡眠時や休息時に優位になるのが副交感神経です。このことを利用して、手の発汗に関与する交感神経の一部を離断して過剰な発汗を抑制するのが、選択的ETS(胸部交感神経切除術)です。この手術は、手掌多汗症を解消する手段として用いられています。
自律神経
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」に分かれ、それぞれが異なる機能を担っています。
交感神経
活発に動いているときに優位になる神経で、意思とは無関係に、状況に応じて身体の様々な器官を制御しています。緊張などのストレス下に置かれると交感神経の作用が強くなり、身体に発汗などの反応が生じます。
副交感神経
睡眠時や休憩をしているときに優位になる神経です。また、身体が受けたダメージや疲労からの回復にも、副交感神経が必要です。副交感神経が優位になると、血管が拡張して血行がよくなり、結果的に栄養素や酸素が身体の隅々まで行き渡り、老廃物の排出も促進されます。
汗と交感神経の関係
自律神経のうち、発汗は交感神経と密接に関わっています。交感神経の作用が過剰になると、発汗量が増加し、成分も濃くなります。
汗と自律神経の関係
緊張下に置かれた状態や睡眠不足が続くと、交感神経が優位になったままになり、身体は疲労から十分に回復することができません。
その結果、往々にして体調不良に陥ります。交感神経と副交感神経のバランスが崩れる自律神経失調症でも、発汗量が増加する場合があります。
自律神経
上述した交感神経と副交感神経は、どちらも自律神経です。それぞれが拮抗して作用し、24時間休むことなく、循環器、呼吸器、消化器などの器官を制御しています。このため、自律神経のバランスが崩れると、不眠、慢性的な肩こりや頭痛、下痢や便秘、過呼吸など、様々な異常が身体に出てくるようになります。
手汗を解消する手術
「選択的ETS
(胸部交感神経切除術)」
手掌多汗症では、手の多汗に関与する交感神経の一部を手術で離断して症状を解消します。手術といっても、短時間で終わる日帰り手術です。脇の下と胸部に小さな穴を開け、胸腔鏡と呼ばれる内視鏡を挿入して実施するため、身体への負担がほとんどありません。手術痕が目立たず審美的に優れる方法でありながら、術後すぐに手の発汗量が抑えられます。
欠点は、手術の内容によっては、手の代わりに他の部位で発汗が増える代償性発汗が生じる場合があることです。これに対して、当院では、代償性発汗を最小限に抑えるために、交通枝のみを切除し本幹は温存する選択的ETSを採用しています。