頭痛のタイプと片頭痛
頭痛には、原因がはっきりせず、頭痛自体が疾患である一次性頭痛と、なんらかの疾患によって引き起こされている二次性頭痛があります。
このうち、一時性頭痛は慢性の頭痛で、ここで説明する片頭痛の他に緊張型頭痛や群発頭痛などの種類があり、これらの一時性頭痛はペインクリニックの診療領域となっています。
一方、二次性頭痛は風邪や二日酔いなどで起こる頭痛も含まれますが、中にはくも膜下出血などの脳出血、脳腫瘍、髄膜炎など生命に関わるものもあります。普段感じたことのない激しい痛みやだんだん強くなる痛みなどが起こったら、救急対応も含めてすぐに医療機関を受診してください。
一次性頭痛について
片頭痛
片頭痛は非常に痛みの強い頭痛で、突然ズキズキと脈うつような痛みがあらわれ、数時間から72時間程度続きます。その間、痛みとともに悪心(吐き気)や嘔吐などの症状もあらわれ、日常生活に大きく影響があります。特に多くの人は光や音などの刺激に過剰に敏感になる傾向があります。また、片頭痛が起こる前に前兆として視野に幾何学的な光が見える閃輝暗点など、異常な神経の興奮があらわれる人と、まったく前兆の無い人に分けられます。
なぜ片頭痛が起こるのか、はっきりとした原因はまだ解明されていません。しかし、脳の血管が何らかの原因で拡張することからくる血管説、間脳のあたりに片頭痛の発生源があるとする中枢神経疾患説など、いくつかの有力な原因と発症のメカニズムが明らかにされつつあります。
女性ホルモンとの関係も報告されており、20~40代の女性に多いことが特徴です。
片頭痛がおこったら、まずは暗く静かな場所で安静に過ごすことが大切です。血管の拡張は原因の一つと考えられていますので、入浴などは避けた方が良いでしょう。
それに加え、ペインクリニックでは、後述する神経ブロック治療などの他、神経発作を一つずつ正していくトリプタン製剤という、片頭痛に特化した効果的な内服薬を処方することができます。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は一次性頭痛の中でも最も多いものです。多くは首筋や後頭部から頭痛が始まり、だんだんと頭部全体に拡がっていき、締め付けられるような痛みや頭重が数時間続くものです。
緊張型頭痛は、肩こりや眼精疲労、強い精神的ストレスなどによって、頚部や肩の筋肉が過度に緊張し周辺の血管も収縮することで、神経が刺激されて起こるとされています。
筋肉の緊張が大きく関連しているため、適度な運動、マッサージ、入浴などが有効で、さらにストレスの解消なども大切です。
治療としては、後述する神経ブロック治療などの他、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を適切な用法で使用することが有効です。また状態によっては筋弛緩作用のある薬や抗うつ薬、抗不安薬などを処方することもあります。
群発頭痛
群発頭痛は、一次性頭痛の中では最も患者数が少ないものです。2年に1度ぐらいの間隔で繰り返し起こる頭痛で、一度活動的な時期に入ると1~2か月の間、毎日数度、目の奥の方に激しい痛みが起こり1~2時間程度続きます。
発症の原因はよくわかっていませんが、目の奥にある内頚動脈が何らかの理由で異常に拡張し、周辺の神経を刺激することで起こるのではないかと考えられています。一時性頭痛の中でも一番痛みが強いと言われており、中には目を何かでえぐられるような痛みと表現する人もいるほどです。
市販の頭痛薬はまず効果がありませんので、群発頭痛かなと思ったらできるだけ早めに受診することをお勧めします。
一次性頭痛の
神経ブロック療法
一次性頭痛では、片頭痛に特化したトリプタンという血管収縮作用と抗炎症作用を兼ねた薬など、薬物療法を行いますが、それだけでは再発を繰り返すことや、思うような効果が得られないことがあります。
そんな時に、ペインクリニックであれば、後頭部の痛みには後頭神経ブロック・側頭部であれば耳介側頭神経ブロック・前頚部(鎖骨の内側の端の真上)にある星状神経節に注射を行い上半身の緊張を緩める星状神経節ブロック療法などを行います。これによって、まずはつらい症状を治めるだけではなく、過敏になっている神経を落ち着かせて、興奮によって緊張している筋肉や血管を緩めて、症状が再発を繰り返す悪循環から脱することも可能になります。
慢性頭痛は、頭が痛むということによって、仕事や学業などの日常への支障が大きくなる傾向がありますので、症状にお困りの際はお早めにご相談ください。
後頭神経ブロック
星状神経節ブロック